2004/9 ベルカント(アン・パチェット)
再読でしたので次点にしか入れていませんが『風車祭(カジマヤー)』は最高! この人の沖縄小説は、破天荒な設定にもかかわらず、「生きる」ということの意味を考えさせてくれます。
1.ベルカント(アン・パチェット)
この本の下敷きになったのは、ペルーの日本大使館占拠事件。幽閉生活の中でオペラ歌手・ロクサーヌが歌い、事態が変わっていく。各国の要人たちは、出世の為に犠牲にした人生を思い出し、テロリストの貧しい子供たちは、美しい世界があることを知るのです。でも、ある意味「幸福な」奇妙な日々にも終わる時が来ました・・。
2.てるてる坊主の照子さん(なかにし礼)
普通の大阪のパン屋の奥さんとして、4人の娘を育てた照子さん。ところが、彼女の4人の娘は、みんな普通じゃない! フィギュアスケートのオリンピック選手や、女優の「いしだあゆみ」を育て上げた、とにかく元気な照子お母さんと、明るい家族のストーリー。NHKの朝ドラでは浅野優子さんが演じていましたね。^^
3.ぼんくら(宮部みゆき)
最初の数話を読んだ限りでは、できのいい短編小説集。ところが、全体の2/3を占める長さの第6話「長い影」に至って、今までの短編が全て前フリだったことがわかります。それまでに解決していたはずの事件や、他愛もない出来事が、別の見方をすることによって、全て違った意味を持ってくるのです。こういう上手なストーリーに出会うと、嬉しくなりますね。^^
次点
・サーカスの犬 (リュドヴィック・ルーボディ)
その他今月読んだ本
・魔女たちの競宴 (ロシア女性作家選)
・腐りゆく天使 (夢枕獏)
・終わらざりし物語 (トールキン)
・赤い高粱 (莫言(モー・イェン))
2004/10/5